ムスリムフレンドリー

ムスリムフレンドリー

 当社のコンサルティングでは、ハラール認証に頼らない事業者独自のムスリム対応の方法について具体的な提案をし、その計画から英語による表示内容の作成に至るまでを一貫してお手伝いします。また、学校、病院その他の公共施設または地域においてムスリムのニーズに応えるためのご相談も承っております。

ハラールな食への需要の高まり
 日本の街中や観光地の飲食店で食事をしたり、コンビニエンスストアで食べられるものを見つけたりすることが、ムスリム(イスラム教徒)にとっては極めて困難であるということをご存知でしょうか。国内のほとんどの料理や食品には、イスラム教で食べることを禁じられたものが使用されていたり、それに由来する成分が含まれていたりすることがその理由です。観光需要の回復とともに、イスラム圏からの観光客の数も再び増加していくことが期待されるだけでなく、日本のムスリム人口も今や20万人を超えると推計されており、ハラール(アラビア語で「(神に)許された」の意)なものしか食べられないムスリム消費者の存在は、日本の市場に新たな需要と商機をもたらし得るものとなっていますが、負担の大きいハラール認証に取り組むことには躊躇する事業者も多く、ハラールな食事を提供する施設を見つけることは容易なことではありません。一方で、ハラール認証を取得せずとも、イスラム教の食の規範に配慮した原材料の選択と調理(製造)工程の管理を行うとともに、それについての情報を適切に表示すれば、食のムスリム対応をすることが可能になります。このような観点から、観光庁でも「ムスリムおもてなしガイドブック」等を作成して、ムスリムへの対応の普及に努めているところですが、官民が連携して海外からの観光客に「おもてなし」をしようという動きとは裏腹に、世界人口の約4分の1を占めるムスリムは、いまだにほとんどの飲食業や宿泊業が提供する料理を食べることができないというのが日本の実情です。

ムスリムフレンドリーサービスの提供
「ムスリムフレンドリー」とは、製品やサービスがムスリムの信仰上の規範に配慮していることを意味する言葉です。ムスリムの宗教的および文化的なニーズを満たすことができる商品やサービスを提供することで、大きな市場を開拓することができるとして、ムスリムフレンドリーは、観光業、飲食業、宿泊業、航空会社など、多くの業界で注目されています。

 ムスリム消費者はハラール認証のある食品だけを食べているわけではなく、料理(食品)にハラール認証がない場合には、各々が持つイスラム教の食の規範についての知識から、食べられる食品を選択しています。そして、ムスリムフレンドリーとして提供される料理(食品)がハラールであることを最終的に判断するのはムスリム消費者です。そのため、料理(食品)を提供する側の事業者には、イスラム教が禁忌の対象とする食材およびそれらを由来とする原材料を避けるために必要な知識だけでなく、ムスリム消費者が判断のために必要とする情報を的確に表現できる技術が求められます。例えば、「豚肉とアルコールが使用されていない」だけでは、食の禁忌の対象が完全に避けられていることにはならず、また、仮に全ての原材料がハラールなものだったとしても「肉と調味料はハラール認証のあるものを使用しています」という原材料の一部についての説明がなされているだけならば、料理(食品)がハラールであることを判断するための十分な情報が提供されていないため、どちらもムスリムフレンドリーと称するには明らかに不適切だと考えます。

 イスラム教が食における禁忌の対象とするものは基本的にはアルコール、豚、血液、およびイスラム教の教えに従わずに屠殺された動物の肉で、それ以外のほとんどの食品はハラールとして食べることを許されています。よって、豚肉とアルコールが欠かせないものを除いては、多くの料理(食品)について、イスラム教の食の規範に対応することが可能だといえます。その際に、加工食品の多くには、食品添加物または加工助剤も含めハラールではない原材料が使用されていることに十分な注意を払う必要があります。日本においても、今やハラール認証のある肉や調味料を調達することは困難なことではないとともに、野菜、果物、穀物、鶏卵、魚介類等の生鮮食品や牛乳、香辛料、塩、砂糖等の加工食品は基本的にはハラールと考えられています。そして、実際に、日本に住む多くのムスリムが家庭においてはそれらの食材から多種多様な料理をつくり楽しんでいるという事実は、ムスリムフレンドリーサービスの可能性の大きさと、その容易さについての示唆を与えるものだといえるでしょう。事業者の方々が大きな費用をかけずに柔軟にムスリムへの対応ができるようになること、そしてムスリムが旅先で容易に日本の食文化を楽しめるようになることが当社の願いです。貴社も独自のムスリムフレンドリーサービスでムスリム消費者のニーズに応えてみませんか。